暮らすがえジャーナル

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会社のビジョンは『ルーラの呪文』。でも、”私らしい”って何なんだろう。

平安伸銅工業がお送りする、連載コラム。
私たちのビジョン「アイデアと技術で『私らしい暮らし』を世界へ」にある「私らしい暮らし」について、深堀していきます。

「私らしい暮らし」って、正直よくわからん。けど…

平安伸銅工業は、今、大きな転換点にいます。

これまで皆さんにイメージしていただいていた「つっぱり棒メーカー」という枠を超え、空間そのものを自由にデザインするための商品やサービスを届けていこうとしています。その変革に合わせて、戦略や組織体制も見直し中です。
その背景にあるのが、私たちのビジョン──


「アイデアと技術で、『私らしい暮らし』を世界へ」


でも正直、「私らしい暮らし」って、聞こえはいいけど、私たちにもよくわかりません。
「じゃあ貴方は私らしい暮らしをしているの?」と言われると、できてるような、できてないような…。

そもそも、「私らしい」ってどういう状態のことなんでしょうか。

「私らしい」って、個性的であれってこと?
それをビジョンに掲げたとき、普段の業務とどう関係あるの?

……ふんわりしていてよくわからない。


それでも、私たちはこの言葉にこだわりたいと思っています。

ビジョンが“お飾り”になったとき、いちばん怖いのは…

ビジョンが私たちの中で形骸化してしまったら──

私たちはきっと、目指すべき方向が分からなくなり、目の前にある、短期的な売上や利益を優先するようになるでしょう。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、短期的な成果を出そうとすればするほど、「過去の実績」や「予測できる範囲」で動くことが正解になりがちです。
なぜなら、その方が成果が出やすいから。

一方で、不確実だったり時間のかかることは「無駄」とされ、どんどん排除されてしまう。
成果が出ているうちはまだしも、もし踊り場に差しかかったり、成果が下がってきた時…

そこにあるのはちょっと怖い光景です。

・ 数字だけを追って、意義が見えず、社員の目が死んでいる
・成果が見えづらい役割の人が「不要だ」と切り捨てられてしまう
・ 新規事業が各自の価値観で進み、リソースが分散し、成果が出ない
・方針が定まらず、延々とミーティングが続く

そんな状態を防ぐためにも、「なんのためにやるのか」を振り返って立ち戻れる**原点**のような場所を、私たちは持っていたい。

それが、ビジョンなんだと思います。

ビジョンはドラクエの「ルーラ」の呪文?

たとえ予測や逆算ができなくても、ビジョンに照らし合わせて「これが大事だよね」と心が動くほうを選ぶ。
もしうまくいかなくなっても、もう一度原点に戻って、別の道を探す。

ドラクエというゲームで、迷ったりピンチになった時に街へ戻れる「ルーラ」という呪文があります。
「アイデアと技術で、『私らしい暮らし』を世界へ」というビジョンは、平安伸銅工業のメンバーにとっての“ルーラの呪文”かもしれません。

「私らしい暮らし」の輪郭を描き続けていく

でもやっぱり、「私らしい暮らし」ってなんなのか、明確にはよくわからない…。
ただ、決まった1つの正解がある訳では無いのだと、今は思っています。

なぜなら「私らしい暮らし」は、ライフステージや価値観の変化の中でも変わっていくものだから。

常に、誰にとっても”現在進行形”なんです。

そしてそれは、頭で考えて言語化されるものではなく、人と会ったり、本を読んだり、日々の営みの中で「ああ、こっちの方がしっくりくるな」と少しずつ輪郭を描いていくものなんだと思います。

私たちのビジョンも、戦後の安全な暮らしを叶える、高度成長期の狭小住宅でも快適に暮らす、とその時代の叶えたい「私らしい暮らし」とプロダクトが変わっていったように、きっと現在進行形で、単純に言語化できないものなのだと思います。
だから、今の「私らしい暮らし」も、よくわからないと手放さず、少しずつ、根気よく、輪郭を描いて解像度を上げていく必要がある。
その先できっと、社内のコミュニケーションも、プロダクトも、事業も、変わってくる。

そしていつか、誰かの「私らしい暮らし」を叶え、喜びを循環させていきたい。

ユーザーはもちろん、社員や平安伸銅工業に関わってくださるパートナーの皆さまの、それぞれの“私らしい暮らし”を実現できたら──
平安伸銅工業として、それほど嬉しいことはありません。

これからの平安伸銅工業をお楽しみに。