暮らすがえジャーナル

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電動キックボードで”私らしい暮らし”を探す旅へ

平安伸銅工業がお送りする、連載コラム。
私たちのビジョン「アイデアと技術で『私らしい暮らし』を世界へ」にある「私らしい暮らし」について、深堀していきます。

電動キックボードで目的地もなく出発

土曜も朝6時に目覚める。

最近は文章を書くために、朝4時に起きている。
別に休日は遅く起きてもいいのだけれど、身体が慣れていて早く目覚める。
カーテン代わりに飾っているブランケットを開いてみると、空はすで明るい。もうすっかり初夏である。

“暮らしの中に、ありのままでいられる空間を見つける”。
それは平安伸銅工業のビジョンでもあり、自分のテーマでもある。

ぶらりと散歩をして、ヒントを見つけよう。

そう思い立って最低限の身支度をして、部屋から出る。
電動キックボードにまたがると、バッテリーの表示は残り半分を指していた。


・・・・充電し忘れていた。
まあ、最大航続距離が35kmだから、ざっくり17kmくらいは走れそう。
『まさかバッテリー切れなんてあるわけないよな。』とタカをくくる。

アクセルをひねると、電動キックボードは静かに加速する。
風が肌に当たって気持ちいい。


朝の空気はまだ涼しくて、街はどこかゆるんで見える。
目的地はない。
行き当たりばったり、ただ興味の赴く方向に進む。

車だと早すぎて見落としてしまう景色も、自転車くらいの速さで進む電動キックボードならのんびりと見ることができるし、興味がある場所を見つけたらすぐに停めることもできる。


そんなことを考えていた矢先、路地に突然現れたのは…ドラゴンの形をしたバイクだった。

まるで少年時代のワクワクがそのまま実体化したような造形。
車で信号待ちしていて、横にこのバイクあったら、絶対に目が行くやつ。

「あ、こういうのが平安伸銅工業の“私らしい”ってことかも??」


・・・うん、たぶん違う。

電動キックボードがまさかの電池切れ

その5km後。事件は起きた。
突如、電源が落ちたのだ。バッテリーが急にゼロ表示に。

いや、さっきまで半分あったよね??

小まめにバッテリー表示を見ていたのに。
電気自動車で同じことが起きたら事件になるぞ??

出かける時に考えた「まさか…。」の伏線が見事に回収されてしまった。

キックボードは一転して、ただの“重たい塊”へと変貌する。

押して帰るしかない…。
Googleマップを見ると、自宅までは徒歩で1時間以上。

気温も上がり、さっきまで気持ちいいと思っていた初夏の風が、急に暑苦しく鬱陶しくなる。

仕方なく川沿いを、トボトボ歩く。
汗ばむ額と重たい足取り。
こんな時、あのドラゴンバイクなら、神龍みたいに空を飛んでくれるのだろうか。
そんなどうでもいいことを考えていたら、視界に入ったのは、色とりどりの瓦屋根をした住宅だった。

謎の街が現れる。

普通の住宅街の中に突如と現れた色とりどりの瓦屋根をした謎の家々。
文化住宅なのに、シルバーの壁で、2階の階段がなくなっている。

「何じゃこりゃ。」

不審者と思われないように外から窓の中をみると、クラフトビールの空き缶がずらりと並んでいたり、謎のオブジェがあったり…。

住人も只者じゃなそうだ。

ちょうど角部屋のところが空きテナントになっていることに気づき、サイトで検索してみた。

ここは「南吹田琥珀街」という場所らしい。
https://kohakugai.com/

コンセプトは、「過去のような 未来のような 時空を超えたまち」らしい。


なるほど…
わかるようなわからんような。

でもここには何かがありそうだ。

電動キックボードの電源が切れたのは、ここに僕を呼ぶためだったのかもしれないと、勝手に違う伏線を回収する。

ここに“本屋”があったら“おもろい”かもしれない。

さっきよりもわくわくした気分で電動キックボードを押しながら、頭の中でミーティングが始まった。


あの空きテナントにどんな場所があったら面白いだろう??
住宅街の中にあるから、決して人通りは多くない。
わざわざ来る理由がいる場所。
それか僕みたいに迷い込んでたどり着く。

集客も難しいし、普通のお店だったら人件費もかかるし、採算が難しいんじゃない?
でも、無人だったら?

無人でできるお店って何だろう??ガチャガチャ屋??ありかも。

ガチャガチャ屋といえば、ガチャガチャで本が買える、無人本屋が話題になっていたな。

本屋ありかも!

本棚なら、ラブリコやAIR SHELFで作れるかもしれないし。

僕の家は本が積ん読して余っていくらいだし。

どんどん妄想が膨らんでくる。

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気づけば、テナント募集をしていた不動産屋にメッセージを入れていた。

「歩いてたら、たまたま見つけて……本屋さんをやりたいなって思ったんです。」

次回は、無人本屋巡りと、不動産屋からのまさかのお返事が。