暮らすがえジャーナル

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大好きな本で家の中を図書館に。私らしさを追求した究極の「暮らすがえ」

こんにちは、暮らすがえジャーナル編集部です。

「暮らすがえ」とは、ライフステージや家族の成長、季節や気持ちの変化に合わせて、暮らしに自ら手を加え、ありたい「私らしい暮らし」を実現していくことをいいます。

今回は、東京都にある、DIY可能な賃貸物件「アパートキタノ」で暮らす男性の「暮らすがえ」をお届けします。
本が大好きなあまり、6畳のワンルームを私設図書館にしたという男性。本に囲まれた暮らしの中で見つけた暮らしの豊かさとは。

堤 聡(Satoru Tsutsumi)

都内に勤める会社員。家の中を図書館にDIYし「人んち図書館」としてSNSに公開中。地方の無人駅を間借りして本屋にする「無人駅本店」や、本棚を背負って歩く「歩く本棚」など本に関わるイベントを多数開催するほど本が大好き。

Instagram:

hitonchi_library

取材協力:

アパートキタノ

本に囲まれて暮らしたい!たどり着いた答えは図書館?

――さっそくですが、家中が本でいっぱいですね!

ありがとうございます。本が大好きで。家の中にとにかく本をたくさん置くのが夢だったんです。この物件は壁に自由に棚を取り付けられるので、壁中に自分で本棚を取り付けました。

6畳一間のワンルーム、DIY可能な壁面に取り付けられた本棚にはびっしりと本が並ぶ

電子レンジの上にはボックス型の本棚が

――電子レンジの上や玄関の周りも全て本棚になっていますね!どうしてDIY賃貸に引っ越そうと思われたんですか?

前は普通の賃貸に住んでいたんですけど、都会の狭小賃貸だと本を置くスペースってどうしても限ぎられてしまうんですよね。かといって広い部屋だと家賃が高くなってしまう。

そんなとき、このDIY賃貸の募集を目にしたんです。壁一面好きにDIYできるということで、これなら好きなだけ本棚を設置できるんじゃないかと思い、引っ越しを決めました。

――狭い賃貸でもとにかく本を収納したい!というのがモヤモヤだったんですね。

そうなんです。あと、「こんなに本があるのに書庫にしておくだけも勿体ないな」ともずっと思っていて。どんな部屋にしていくか考える中で、「この部屋を図書館にしたらおもしろいんじゃない?」と思って、知人限定の私設図書館にしました。アパートでイベントがあった時とかに、このアパートの住民の方に開放しています。

本棚だけでなく、ナゲシを作って飾り棚も設置。今は1100冊ほどの本が部屋の中にあるそう。

――家の中が図書館!おもしろい発想ですね、これは何ですか…?

なんちゃって図書館のカウンターです。このアパートに住んでいた建築学科出身の住人が設計してくれて、友人たちの手も借りながら自分たちでDIYしました。普段は作業デスクとして使っています。

自作の図書カウンター風デスク。机の幅や高さを自分の使いやすいサイズに合わせたんだそう。

――すごい、図書館で本の貸し借りをするカウンターだ!まさに図書館ですね!

家の中にこんなの作ってもいいんだ、と思いました(笑)
座ってみると結構落ち着くし、お気に入りのスペースです。

――暮らしの可能性って無限大だなぁと感じます。ちなみに、この部屋にはベッドがないなと思ったのですが、寝るときはどうされているんですか?

押入れにしまってある布団を敷いて寝ていますよ。仕事の時間が不定期で夜勤も多いので家で寝る回数は少ないし、ベッドはいらないかなと。

――あまり使わないベッドより、本を置くことを優先しているのですね。その発想はなかったです…!

自分だけの図書館が生み出したのは、人と人をつなげる暮らし。

――この賃貸に住んで変わったことはありますか?

そうですね、大好きな本に囲まれて暮らしたいという理想が叶えられて満足、というのもあるんですけど、訪れる人とのコミュニケーションが深まったような気がしています。

――コミュニケーションが深まった、どんな事があったのでしょう?

アパートの住人の方や友人、いろんな人がこの部屋を訪れてくれるんですが、本を並べていると、自然と本をきっかけに自分が好きなモノの話になるんですよね。知らない人同士が一緒になっても、本がきっかけで自然と会話が生まれていくんです。「この本に出てくるお店に行ったことがある」という話になったり、「その話ってこの本にも載っていたよね」と会話の途中で本を広げて話したり。

――訪れた人同士のコミュニケーションを本が繋げているんですね。

そうなんです。あとはこの棚も自分で作ったんですけど、蓋の部分に好きなフライヤーを飾れるようにしたんです。

――可愛らしいイラストのカレンダーですね!私こういうイラスト好きです。

これ、僕の知人が作った作品なんです(笑)

好きなアートや知人のクリエイティブも一緒に飾っているのですが、そうすると今みたいに「これ、友人が作っていて」と紹介ができるんです。この部屋を訪れた人は新しく「好きなモノ」に出会うことができるし、クリエイティブを作った友人も新しい人にその価値を届けることができる。そうやって皆が喜んでくれることも嬉しいんです。

時計と一緒に飾っているのは、この部屋に設置した図書カウンターの模型「設計してくれた友人が作ってくれたんです。」と堤さん

そうやって、この図書館を通じて、友人同士が繋がったり、この図書館を訪れた人や私の好きな人たちが幸せになることが、私の作りたかった暮らしなのかもしれません。

――「暮らすがえ」で手に入ったのは、好きな本に囲まれた暮らしと、それらを通じて、堤さんのお友達やこの部屋を訪れた人たちが繋がってハッピーになっていく暮らしだったんですね。

そうですね。いろんな人が訪れた証にしたり、もっとコミュニケーションが広がればおもしろいなと、玄関先に作ったラブリコの棚を身長計にしたりもしています。

「身長を測るのは子どもの時以来だ」と盛り上がったり、「いついつに訪れた○○さんと身長が近いね」という話になったり、面白いです。

――なんだか懐かしくて面白いですね!これからこの家で更に手を加えたいところはありますか?

そうですね、まだまだ本棚を増やしたいなと思ってるんですよ。

――今以上にですか!

引っ越していく友人に寄贈してもらったりしているので、本がまだまだ増えているんです。

これだけ本が増えてきたからには、ちゃんと管理できるようにしたいなと、今は図書館司書の資格にも挑戦しています。家がどんどん成長していくから、それに合うように自分が成長しなきゃいけなくなってしまいました。笑っちゃいますよね。

――家の成長に合わせて自分も成長していく、というのは面白いですね。これからの「人んち図書館」がどう進化していくか楽しみです!

編集後記

今回ご覧いただいたのは、DIY賃貸から生まれた、自分の好きと私らしい暮らしをとことん追求した究極の「暮らすがえ」。

暮らしは大掛かりなリフォームをしなくても、自分の手だけで、どこまでも自分の好きに、自由に変えていける。そして、私らしさをここまで表現することができるのだと、編集者自身も改めて感じたご自宅でした。

家の中は「家らしく」なくてもいいのかもしれない。

暮らしの理想も、もっと大きく考えてみてもいいのかもしれない。

さあ、暮らすがえ。