暮らすがえジャーナル

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転勤族がようやく手に入れたマイホーム。こだわりは“突っ張り棒”?ライフステージに合わせる「暮らすがえ」

こんにちは、暮らすがえジャーナル編集部です。

「暮らすがえ」とは、ライフステージや家族の成長、季節や気持ちの変化に合わせて、暮らしに自ら手を加え、ありたい「私らしい暮らし」を実現していくことをいいます。

今回は、整理収納アドバイザーのかやまさんのご自宅を訪ねました。「マイホームを建てたのですが、あえて特別なつくりにはしなかったんです。だって突っ張り棒があるから。」というかやまさん。その真意に将来を見据えた「暮らすがえ」がありました。

かやま あかね さん

大阪府内在住。夫と小学1年生の女の子と幼稚園年中の男の子の2人のお子さんとの4人暮らし。過去8年間で5回の引越しを経験。整理収納アドバイザー、つっぱり棒マスターとしても活躍中。

HP:

かたすく

Instagram:

@kayama_akane

――ステキなご自宅ですね!

ありがとうございます。リビングは2人の子どもが遊んだり勉強するスペースになっているので普段はもっと散らかっていますよ(笑)でも、すぐにきれいな状態に戻せるよう、片づけやすさにはこだわっています。

――さすがです。このご自宅はいつから住まわれているんですか?

今年の3月に引っ越したばかりです。元々夫が転勤族で関東を転々としていて、マイホームという選択肢はあまり無かったのですが、昨年、地元である大阪に転勤が決まったんです。そこから思いがけずですが、マイホームを建てることになりました。娘の小学校入学も重なっていたのでかなり過密なスケジュールでした(笑)

一世一代のマイホーム。でも、あえてオプションは付けない。

――マイホーム、憧れます。ご自宅を作る上でこだわったことはありますか?

自由設計のお家で、間取りは自由に決められたので、整理収納アドバイザー仲間のママ建築士さんにお願いして、家事のしやすさにはこだわったものにしました。夫とも議論になったのですが「誰がこの家でメインで家事をすると思ってるの!?」と私の意見をかなり採り入れてもらいました(笑)

例えば、玄関も「誰が毎年五月人形とひな人形を取り出して飾るの?!」と、近くに収納を作ってもらったり。

玄関のすぐそばに作られた収納スペース。ひな人形や五月人形など季節のアイテムがしまわれている。

――確かに、年に一度とはいえ取り出しやすい位置にないと億劫ですよね、こういうものって。

そうなんです!だけど、こだわってつくったのは生活動線に関わる細かい部分だけで、オプション料金になるような設備はほとんどつけていないんです。間取り自体はいたってシンプルです。

整理収納アドバイザーの仕事をしている、というと、住宅販売会社の方にも「じゃあ、収納がたくさん必要ですね!」と言われたんですが、標準装備だけで、オプションで収納をたくさん作ったり、棚を増やしたりなどはしていません。

――住宅設備のオプションがほどんど無いのは意外です。収納は多い方がいいのでは?

例えば、子どもが成長したら、持ち物の内容も量も変わっていくじゃないですか。

それに、この先、夫が単身赴任するかもしれないし、子どもが寮生活をしたり、独立したりする可能性もある。そしたら逆に収納はあまり必要ないですよね。この先どんな暮らし方をして何を収納していくかは自分たちですら分かりません。

だったら、大枠はシンプルなつくりにして、突っ張り棒や棚でその時の自分に合った収納や暮らしを作っていくほうがいいって思ったんです。

――なるほど、確かにお子さんが成長されるとリビングひとつとっても収納する物って変わりますよね。でも、どうして突っ張り棒や突っ張り棚という発想になったんですか?

そもそも、転勤族の暮らしが長かったのが影響していると思います。

夫は、不定期に全国転勤がある仕事をしているんです。
だから、いつどこへ引越しが発生するか分からない。もちろんそれを承知で結婚したのですが、いざ転勤族の妻になるとこんなに大変なんだと実感しました(笑)

その一つが引越しの作業。引越しは8年で5回経験したのですが、せっかく収納ボックスを買っても次の引越し先の家ではサイズが合わないから捨てざるを得ない…なんてことが多々あったんですよね。
しかも、引っ越しの荷造りの時も、中身が詰まった段ボールと、収納ボックスとで荷物が倍になってしまって。
運ぶのも大変ですし、引っ越し日の直前になると部屋の中に荷物が溢れかえってもはや生活ができないんですよね。

――分かります、引っ越し先だとサイズが合わなくて使えなくなってしまう家具って結構ありますよね。

そんなとき、突っ張り棒と突っ張り棚の便利さに改めて気づいたんです。元々いくつか使っていたんですが、収納をカラーボックスから突っ張り棒と突っ張り棚に変えれば、引っ越し先のサイズに合わせて設置ができるし、引っ越しの時の荷物は小さくなる。しかも、用途を変えて使うこともできる。

「なんて便利なんだ!!」って思ったんです。

リビングの収納も今はこんな感じです。

奥の突っ張り棚は、最初の家では、トイレ棚として使っていました。次に引っ越した家は、トイレに棚がついていたので、楽器のキーボードを置くのに使っていたかな。今はこうやって収納棚として使っています。

リビング収納の中。突っ張り棚はこれまでのご自宅でさまざまな用途に使われていた。

「収納内のでっぱりを利用して突っ張り棒を活用しています」とかやまさん。

――住まいが変わってもサイズを変えらえるし、違う用途に使うこともできる、改めて便利ですねつっぱりアイテム

そうなんです。他にも、玄関の飾り棚も、今はこのハロウィン飾りをどうしても飾りたかったのでつっぱり棒でつけています。でも、ハロウィンが終わったら外すつもりです。そんな風に好きに取り外しできるのもいいですよね。

玄関の飾り棚。季節や趣味に合わせて飾るものを変えている。突っ張り棒は必要に応じて取り外しているのだそう。

だから、突っ張り棒は捨てずにストックしています。前に使っていた用途では不要になっても、別の用途で使えることもあるので。

リビングのクローゼットの隅。缶の中にさまざまな長さのつっぱり棒が。突っ張り棚のストックもあるのだそう。

――ほんとだ、いろんなサイズの突っ張り棒がクローゼットの中に待機している…!!いろんな場所で突っ張り棒を使われていますが、そんなに使うところありますか?

めちゃくちゃありますよ!例えば、この突っ張り棒は玄関専用に置いているのですが、雨の日だけ玄関にかけて子どものレインコートを干すのに使っています。洗面所も、今は広さをとるために脱衣所とひとつの空間になっているんですけど、子どもが年頃になったら突っ張り棒とカーテンで洗面所と脱衣所を区切れるようにしようと思っています。

玄関横のスペース。普段は何も無いが、雨の日だけ突っ張り棒を出せるようにしている。

天気、季節、ライフステージ…家を自由に変化させて暮らすこと

――突っ張り棒や突っ張り棚で、日々の変化にも、ライフステージといった大きな暮らしの変化にも柔軟に対応ができるんですね。

そうなんです、そういう意味ではランドリールームもこだわりです。

私、花粉症がひどくて1年の半分は外に洗濯物を干せないので室内干しのスペースがどうしても必要で。

家を建てる際に、洗濯干し専用のスペースを作るならハンギングを付ければというアドバイスもいただいたんです。でも、子どもが大きくなったらハンギングじゃ足りないかもしれないし、1年間住んでみないと日当たりも分からないしと思い、突っ張り式のラックを使っています。子どもが独り立ちして洗濯物が減ったら、洗濯物干し以外のスペースとして活用することもできますし。

洗濯物干しスペース。奥行きのあるスマートな部屋の中に複数の突っ張り式ラックを設置している。

――将来的な暮らしの変化も見据えて、いろんな工夫をされているんですね。実際に住まわれてみてどうですか。

この8年間、妊娠・出産、急な転勤や住み替え、それに伴う子どもの転園……と環境が目まぐるしく変わってバタバタしていたので、今はようやく落ち着いて、しかも夢のまた夢だと思っていたマイホームで過ごせることが嬉しいですし、快適です。

収納はまだ発展途上ですが…この経験があったから、マイホームでも暮らし方やライフステージに合わせてつっぱり棒や突っ張り棚で家の中を自分でカスタマイズしていく、という考えに至ったんです。天気、季節、趣味、いつかくるかもしれない夫の単身赴任や子どもの独立…いろんなことに柔軟に対応できる暮らしができているのは、引っ越しのしやすさや暮らしやすさを追求してきたからかなと。

――かやまさんが「暮らすがえ」でみつけたのは、どんな生活の変化にも柔軟に対応できる暮らし方、だったんですね。これからやりたいことはありますか?

まだまだ、子どものおもちゃ部屋はまだ整え終わっていないですし、再来年には息子が小学生になり未就学児がいなくなるので、暮らし方も大きくアップデートしたいです。この先もいろんな変化があると思いますが、都度家族で楽しく暮らす工夫をしていきたいなと思います。

編集後記

「今日、ほんとうにこのお家に関してお話したいことがありすぎて、事前に整理したんですけど、それでも結構な量になっちゃいました。」と取材前に笑ってお話ししてくださったかやまさん。

「ということは、きっといろんな設備で細部にまでこだわったご自宅なんだろう。ならば、突っ張り棒の出番はあまりないのでは?」と予想していたのですが、教えてくださったのは、かやまさんが日々の暮らしやご家族の変化に合わせて、いかに自分たちで家の中を変えていけるようになっているか、という工夫でした。

季節、子どもの成長、家族の仕事、いろんなきっかけで私たちの暮らし方は日々変わっていく。

そんな変化に柔軟に対応できる暮らしならば、かやまさんのように毎日笑顔で暮らすことができるのかもしれない。

さあ、暮らすがえ。